私は昔から水中で泳ぐことに心理的抵抗がありました。
小さいときに溺れたのか、それとも胎児のときに羊水を飲み込み過ぎたのか・・・・
しかし、その原因がヨガを習っているときに分かりました。
私には「息こらえ」つまり呼吸を止めることに心理的抵抗があったのです。
特に息を全て吐き切ってからの息こらえが他の人に半分の時間も我慢できません。
「息こらえ」を苦しく感じるのは、基礎医学でお伝えした脳幹にある呼吸中枢(respiratory center)が関係しています。
二酸化炭素濃度が高くなると、呼吸中枢にドライブがかかり、呼吸を促します。
この自然の仕組みを無理に我慢するから苦しくなるのです。
それでは、息こらえが得意な人は何が違うのでしょうか?
まずは肺活量です。
ヨガの呼吸や水泳などによるトレーニングで肺活量が高くなっていると、それだけ酸素を貯められます。
二酸化炭素は、赤血球のヘモグロビンと結合して、酸素をヘモグロビンから遊離します。
体内に酸素量が多い人ほど、このヘモグロビンに結合している酸素も多く、また二酸化炭素と入れ替わることができます。
肺活量が低いと、二酸化炭素はヘモグロビンと結合する割合が減少し、肺から呼気として排出される割合が高くなります。
そのため、呼吸中枢を刺激して、呼吸をより促されるために、息をこらえることが難しくなるのです。
もう一つは、精神的影響です。
息を止めることに慣れていていないと、呼吸中枢からの呼吸のサインを止めるという不自然さにパニックに陥ります。
パニック状態は、セロトニンというストレスホルモンが急増しますが、過呼吸の原因になります。
したがって、パニックになると必要以上に頻呼吸になってしますのです。
パニックは、実際は糖のエネルギー代謝低下(甲状腺機能低下)の部分症状でもあります(Mitochondrial function in the brain links anxiety with social subordination. Proc Natl Acad Sci U S A. 2015 Dec 15;112(50):15486-91)(Multi-omics analysis identifies mitochondrial pathways associated with anxiety-related behavior. PLoS Genet. 2019 Sep 26;15(9):e1008358)。
興味深いことに、現代人のように冬眠状態にある人、つまり糖のエネルギー代謝が低い人ほど、二酸化炭素濃度が低くなります(糖の完全燃焼で、二酸化炭素が産生される)。
代謝が低いひとも、パニックにさえ陥らなければ、息こらえは得意なはずです。
息こらえの得意なヨガの修行者はこのいずれでしょうか?
息こらえを長く維持するためには、肺活量を高くするトレーニングと糖のエネルギー代謝を高めることになります(^_−)−☆。
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